テレビ朝日系列「アニメ・特撮」主題歌での男女イメージ資料

この資料集の意義

テレビ朝日およびその系列局の放送した「アニメ・特撮」番組における、「男女イメージ」を検討するための「資料」を以下、羅列してみます。「資料」は「主題歌映像」に限定したうえで、そこから抽出した画像ということになります。

この資料の意義を二通り述べておこうと思います。一つは、アニメや特撮における「男女イメージ」に関心のあるかた全般に役立つだろう、というものです。悪い例として勝手に挙げさせてもらえば、斎藤美奈子著『紅一点論』(1998)は、男性や女性の表象という問題を扱う際に、放送局という変数を無視しすぎています。その無視によって斎藤の論から何が失われたのかが、当ページの資料を眺めることで、『紅一点論』既読者に「直感的」に伝わるだろう、と期待しています。

なおついでに少し余談ですが、斎藤の『紅一点論』は「フジテレビの世界名作劇場」枠番組(世界名作劇場 - Wikipedia)やそれと類似したタイプの作品をまったく無視したうえに、なぜか一部の宮崎アニメ(ほとんどは映画)だけを扱う、という恣意的な選択をしているのも、かなり重大な欠陥ではあります。斎藤が魔法少女番組に与える「恋愛ボケ」「通俗女性誌みたい」といった否定的な評価は、「名作アニメを子どもに是非見せようとする養育者」の平均的な意識とさして変わらないため、斎藤の立場こそがむしろ「常識」をなぞっているに過ぎないとも言えるわけです。その立場と「名作劇場枠」の無視は無関係ではないと思われます。

閑話休題。いま一つの意義は、高校生に必要な能力を与える、ということのきっかけとしてのページです。高校生が進学先や就職先を選ぼうというとき、当然、大手マスメディアの傾向くらいはわかっていないと困るわけです。大手新聞や大手出版社の傾向すらも知らないし判断もできないのに、大学や専門学校や会社を選ぶことができるわけがないからです(もちろん参考書や予備校を選ぶことも、です)。また、そんなことでは、二十歳になって選挙権を得ても、自分で投票先を識別・判断・選択することなどできるわけがないからです。ところが、たかだか大手新聞社一つとっても、その傾向を高校生にわかるように解説している資料など、まあ、めったにないわけです。そういう能力は明らかに有用であるのにもかかわらず、その能力の形成に役立つリソースが、なかなか見当たらないのです。

このページは、「テレビ朝日(とその系列局)」に特に顕著である性質の、ある一つのものに絞って提示しています。ある特定のタイプの「男女イメージ」が、テレビ朝日系列の番組のなかに頻繁に見られ、それは番組の総体、放送局のスタンスの総体と、かなり連動していると感じます。つまり、たんなる偶然だったり、あまり本質的でなかったり、ではないと思います。また、この性質が、テレビ朝日系列以外の放送局でどの程度見られるのか、は今多くは語りません。おそらく他局よりは、テレビ朝日のほうが質量ともにずっと「豊富」だろうとは思いますが、あまり断定はしないでおきます。

このページを見たことで、テレビ局やマスメディアの傾向に興味をもっていろいろ自分でも調べてみようとすることは、(本人のために)良いことなのではないかと思います。その識別能力は、他の事柄にも応用が利くからです。

なぜ「主題歌映像」なのか 「主題歌映像」を使うと何がわかるのか

「主題歌映像」を選んだ現実的な理由は、時間がかからないで、ある程度多くの番組を広く浅く知ることができるからです。アニメや特撮番組の「内容」に立ち入った検討は、相当に時間がかかりますし、それが困難な番組も多いはずです。特定の少数の作品を深く分析するためには、「全体像」がまずわかっていないと的外れなものになりやすいはずです。だからまずは「全体像」を掴むことが優先的だと思うのです。

で、「主題歌映像」を使うことで何がわかるのか、です。それを考えるには、これらの映像が誰のために、何のために、存在しているのか、を考えると良いと思います。とは言え少々推察ではあります。半年や一年間の番組であっても、放映許可がおりる前にあらかじめ全話作っておくことはできません。むしろ放映許可が下りてから、大半の作品は作られることになるはずです。となると、作品の制作者が、放送局に放映許可をとるために、何を提示すれば良いのでしょうか。…と考えたときに、「主題歌映像」というのは、おそらくその段階で使用される可能性がきわめて高い物件だと思えます。「主題歌映像」は、番組の制作者が放送局の「上層部」に「放映許可」をもらうために、まずは使われるのです。実はこれは、すでに何十作も「主題歌映像」を視聴しての、私の「確信」でもあります。これらの映像のなかには、「許可」をもらうための、少々「優等生」的な映像が本編に比べて多いように思えたのです。

もしその推察が妥当なら、各放送局にとっての「優等生的な映像」とは何かの「答」が、「主題歌映像」にはあると言えます。もし放送局によって「優等生的映像の基準」に違いがあれば、その違いは、「主題歌映像」からもわかる可能性があります。そして実際にそうだと私は言いたいのです。それは以下の画像を見ていただければ、充分伝わると思います。また、「優等生的」であると判断されたか否かにかかわらず、これらの映像が実際に許可されて放映された、というのは紛れもない事実です。テレビ朝日やその系列局というのは、こういった瞬間映像を含む映像を放映することを許可するような放送局なのです。

テレビ朝日系列「主題歌映像」から抽出される「男女イメージ」

あとは、もうひたすら見ていただくのが一番早いのです。なお、今後、追加・削除などを予告なくおこなう場合があります。またこのページを作成するに際してテレビ朝日系アニメ - Wikipediaに全面的に依拠しています。

1.幼女と壮年男性

『マグネロボ ガ・キーン』1976,NET
マグネロボ ガ・キーン主題歌映像
『宇宙海賊キャプテンハーロック』1978,ANB
宇宙海賊キャプテンハーロック主題歌映像

2.体勢方向を同じくする男女

『こぐまのミーシャ』1979,ABC
こぐまのミーシャ主題歌映像
こぐまのミーシャ主題歌映像
『若草のシャルロット』1977,ABC
若草のシャルロット主題歌映像
『エスパー魔美』1987,ANB
エスパー魔美主題歌映像
『聖戦士ダンバイン』1983,NBN
聖戦士ダンバイン主題歌映像
聖戦士ダンバイン主題歌映像
『宇宙魔神ダイケンゴー』1978,ANB
宇宙魔神ダイケンゴー主題歌映像
宇宙魔神ダイケンゴー主題歌映像

3.手をとり合う男女

『ザ・カゲスター』1976,NET
ザ・カゲスター主題歌映像
ザ・カゲスター主題歌映像
『宇宙の騎士テッカマン』1975,NET
宇宙の騎士テッカマン主題歌映像
『デビルマン』1972、NET
デビルマン主題歌映像
『マグネロボ ガ・キーン』1976,NET
マグネロボ ガ・キーン主題歌映像
マグネロボ ガ・キーン主題歌映像

4.寄り添う男女

『超合体魔術ロボ ギンガイザー』1977,ABC
超合体魔術ロボ ギンガイザー主題歌映像
超合体魔術ロボ ギンガイザー主題歌映像
『闘将ダイモス』1978,ANB
闘将ダイモス主題歌映像
『まじかる☆タルるートくん』1990,ABC
まじかる☆タルるートくん主題歌映像
まじかる☆タルるートくん主題歌映像
まじかる☆タルるートくん主題歌映像
まじかる☆タルるートくん主題歌映像
『ママレード・ボーイ』1994,ABC
ママレード・ボーイ主題歌映像
ママレード・ボーイ主題歌映像
ママレード・ボーイ主題歌映像

5.積極的な女性

『一休さん』1975,NET
一休さん主題歌映像
一休さん主題歌映像
『怪盗セイント・テール』1995,ABC
怪盗セイント・テール主題歌映像
『コンポラキッド』1985,ANB
コンポラキッド主題歌映像
コンポラキッド主題歌映像
コンポラキッド主題歌映像
『クッキングパパ』1992,ABC
クッキングパパ主題歌映像
クッキングパパ主題歌映像
『The・かぼちゃワイン』1982,ANB
The・かぼちゃワイン主題歌映像
The・かぼちゃワイン主題歌映像

これらの抽出映像から、「テレビ朝日系列の番組での男女の平等や対等」についての一貫した理念が読み取れるものだと私は信じます。言うなれば、「朝日の“建前”」では「男女の平等」がこの水準に設定されている、ということなのです。他局と比べたときに、これは際立った水準の「平等」であるように思います。

2014.08.24 初出