はじめに

現代日本社会には文系の知恵が不足しています。たとえば、文系の学問で進展や変化があったからといって、それが小学校や高等学校のカリキュラムに反映するかというと、あまり反映しません。またそもそも、文系の学問を専門的に学んだ人に学問の内容を小中高生に教える機会はほとんど無いですし、その一方で小中高生に学問の内容を学ぶ機会もまたほとんどありません。文系の学問と小中高の教育内容とは、直接的にも間接的にも少ししか接点がないのです。

このため、文系の大学院を出てもそれを生かせる職業があまり無く、また、小中高と十二年間学んで、さて文系の大学に進学しようと思っても、学んだことによって進学先を選ぶ指針が得られるということがあまり起こりません。のみならず、文系の知恵を生かすべき社会企業・社会事業などが人材不足に困る一方、社会事業に生かせるような文系の知恵をもった人がその能力を生かせる職場を探すのに困っていたりもします。

これらの従来からの事情に加えて、今後は日本語力不足という新たな事態も想定できます。というのも、小学校英語が義務化したことによって、ある世代以降は日本語に充分慣れ親しまないうちに英語に強制的に触れることになるからです。ただでさえ、日本語の教育に義務教育が成功しているとは言い難いのに、です。さしあたりこのことによって、日本語で書かれている現代の書籍の知見が、今後の世代に継承されていかない事態も考えられます。もちろんもっと悲惨な事態も考えられます。

ここに述べたような事態は、いわば「天災」のようなものであり、根本的な解決は不可能だとわたしは考えています。ですから、対症療法のように場当たり的に、のらりくらりと対応していくしかないと考えています。そのような趨勢が最近けっこうはっきり見えた気がしたので、リニューアルいたしました。今後そのような場として、少しずつ整備していければ良いと考えています。

2015.07.20 改訂 2014.01.30 初出